星の唄
「結衣…!!」
「え…?!」
部屋に入った瞬間、結衣は急に抱き着かれていた。
ギュッと抱きしめられた感覚と視界にはふわふわの桜色の髪が見えた。
「あ、あの…。」
「あ。ごめんなさい…つい!!元気だった?」
結衣の声に抱き着いた声の主は離れ、結衣に笑顔を向けた。
彼女は結衣の思った通り、母親の舞衣だった。
久しぶりのはずなのに、懐かしいその笑顔に結衣は嬉しくなった。
「元気だよ。ただいま、お母さん。」
「おかえりなさい。」
安心した結衣が見せた笑顔に、舞衣はさらに嬉しそうに笑った。
そして、また結衣をギュッと抱きしめた。
「おかあさ…くるし…。」
「あ、ごめんなさい!!」
舞衣は人より少し力が強い。
いつもは調整しているが、娘との再会が嬉しく調整を忘れているようだった。
プロジェクトの上に立つ舞衣からは想像も出来ない。
ここにいるのは一人の母親だった。
「大丈夫。お母さん、それよりどうかしたの?」
「え?」
「用事があって呼んだんでしょう?」
結衣の問い掛けるに舞衣は黙り込んだ。