星の唄
迷子
その夢はいつもの結衣の部屋ではなかった。
(…ここは?)
そこは何もない真っ暗な空間。
星も見えないので星の部屋とも違うだろう。
明かりも何もなく、結衣は自分の姿も感覚で確認するほかにはなかった。
「あなたがユイ?」
「え…?」
急に結衣の後ろから女の子の声がした。
慌てて振り返って見るものの、暗闇では何も解らない。
「あれ。あなたが持ってるんでしょ?」
「あれ……?」
突然¨あれ¨と言われても、結衣には何も思い浮かばなかった。
知らない女の子。
結衣の記憶の中にも見つけられなかった。
「そう。星のかけら。」
「え…?」
(星のかけら……?)
それには心当たりがあった。
どんな所にでも持ち歩けるソラから貰った¨星のかけら¨。
結衣はポケットにそっと手を入れる。
「わ……。」
ポケットから取り出した¨星のかけら¨は白く光っていた。
「そう。これを探してたの。」
「え…?」
やっと姿が見えた女の子は結衣より小さくて、長い金色の髪をしていた。
嬉しそうに笑って、¨星のかけら¨を結衣の手から盗ろうとした。
…けれど。
それは叶わなかった。