星の唄


「結衣ちゃんどこだ…?!」

(ソラ…?!)

今度はちゃんと聞こえた。
けれど暗闇では見えない。
声がどこから聞こえるのかは解らないが、間違うはずがなかった。

「ソラーッ!!」

結衣の声は暗闇に響いた。

「結衣ちゃん?!」

「…ソラ?」

しばらくして、声に気付いたソラが結衣の目の前に現れた。
結衣であることを確認し、ソラは笑顔を見せた。

「良かった…!!」

…と、言う台詞は結衣の耳元から聞こえてきた。
気が付けば、結衣はソラの腕に包まれていたのだった。

ギュッと抱き締められ身動きも出来ない。
ソラが何をそんなに焦っているのかも解らなかったが、ソラの呼吸は荒かった。

「ど…どうしたの…?」

「無事ならいい…。」

答えにはなっていない。
抱き締められる腕も緩くはならなかった。


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