星の唄
「さてと。本題に入るか。」
結樹はバサッと紙を起き、真面目な顔になった。
「結衣、お前初日に奏空が話した事は覚えてるか?」
「話した事?」
「記憶が戻るかは解らないってやつだ。」
結衣は記憶を探す。
確かにサラッとそんな話をしていたように思う…が記憶には残っていない。
「実際、今日の結衣達みたいに深い夢に落ちたまま、戻ってない奴もいるんだ…。」
「え…?」
「結衣ちゃん、今日会ったでしょ、金色の長い髪の女の子。」
奏空はそう付け足して、哀しそうに視線を落とす。
「……。」
結衣は女の子の事を夢なのに顔や声まで覚えていた。
眠り続ける女の子。
それが今日夢で出逢った少女の正体だったのだ。
結衣はここへ来て、一つの噂を耳にしていた。
¨眠り姫¨
関係者の親類で、幼くして被験者になり、目覚めないまま。
色んな方法も試したが効果もない。
原因も解明されていないという話だった。
それでも噂は噂。
それが真実ならば途中でプロジェクトは中止になっているだろう…と結衣は思っていた。
しかし、現状はその噂は事実であり、プロジェクトは実行されているということだったのだ。