星の唄
「あ、そうか。結樹は知らないよね。」
さっきの哀しそうな顔とは違い、奏空は少しだけ笑顔を見せた。
「お前の部屋でも見たことないぞ?」
「もちろん隠してたから。」
奏空の笑顔に結樹は少しだけ不服そうな顔になる。
そういえば、昔も仲間外れになるとこんな顔をしていた…と結衣は思った。
「¨星のかけら¨は小さな宇宙なんだ。」
「小さな宇宙??」
結樹はますます解らない顔になる。
「¨星のかけら¨を使った所が数時間だけの星の部屋みたいになるんだ。…これなら解る?」
奏空はさらに説明を付け加えた。
それを聞き、結樹はパッと明るい顔で閃いたように声をあげた。
「あぁ!なるほど!!で…?なんでカナデはそれを探してるんだ?」
「………。」
それには奏空も解らない顔になる。
もちろん、言い出した結衣も理由までは解らなかった。
「…ま、いっか。とりあえず、結衣は休め。」
考えていても答えは出ないと判断した結樹は結衣の頭をクシャッとして、席を立つ。
結衣が心配で様子を見るため…という口実で来た二人だが、今回の事で仕事は山積みだった。
「奏空、行くぞ?」
「…あぁ。」
奏空は溜息をつき、席を立つ。
「じゃあ私も…。」
「あ、結衣ちゃんはここでゆっくりしてていいよ、ここは大丈夫だから。」
言いかけた結衣に笑顔で奏空は答えた。
それは結衣の好きなあの笑顔だった。