星の唄


二人が仕事に戻ったので、結衣も部屋へ戻った。
奏空の部屋に居てもいいと言われたが、それは落ち着かなかった。

─…コンコンッ。


(……?)

結衣は戻ってからよく寝ていたようだった。
昨晩は夢の途中で起こされたのだから無理はない。
ノックの音で目を覚まし、時計を見るともう夕陽が出る時間だった。

普段、結衣の部屋に訪ねて来る人はいない。
周りは授業の時に友達を作ったりしていたが、結衣にはそんな気も起きなかった。

─…ガチャッ。


「こんばんは。」

ドアの向こうに居たのは奏空だった。

「…どうしたの?」

「ちょっといいかな?」

「……?」

奏空はいつもと様子が違う。
たくさんの仕事に疲れているのだろうか?

結衣は心配しながらも奏空に着いて行った。


       *


着いたのはある部屋の前。
部屋のドアには『関係者以外立入禁止』と書かれていた。

(…ここは……。)

奏空はドアの隣にあるテンキーを押しロックを解除した。

「どうぞ。」


< 118 / 189 >

この作品をシェア

pagetop