星の唄


中に入ると思っていた通り、そこには機械に繋がれて眠る金色の髪の女性がいた。
女性は夢の中で出逢った少女より成長した姿だった。


「カナデ、結衣ちゃんを連れてきた。」

奏空は眠る女性に声をかけた。
それは結衣の好きな笑顔よりもっと優しい笑顔に見えた。
結衣はその笑顔に、また心の辺りに何か当たったような、そんな気がしていた。

「結衣ちゃん、彼女がカナデ。奏でるって書いて一文字で奏(カナデ)。」

「…奏でる…?」

「うん。俺と同じ。」

奏空は少し嬉しそうに笑って言った。
こんな嬉しそうに笑う奏空を結衣は知らない。


「結衣ちゃんには奏の事、ちゃんと話したいんだ。聴いてくれる?」

さっきまでの笑顔は真剣な眼差しに変わっていた。

「奏さんのこと…?」

結衣の知らない笑顔を奏には見せた奏空。
それが心に残ったままなのか…結衣は戸惑いながら頷いた。


< 119 / 189 >

この作品をシェア

pagetop