星の唄


「しかも奏が目覚めない原因は俺が作ったんだ…。」

「え……?」

「もちろん。年齢によるものがキッカケなんだけど…俺、会いに行ったんだ、奏に。」

それを今でも奏空は後悔しているのだろう。
奏空の顔はさらに哀しく険しい顔になっていく。

「結衣ちゃんも夢から覚めて俺に会った時、思ったでしょ?嘘つきだって。」

そう言って奏空は結衣に哀し過ぎる笑顔を向ける。
それはまるで、今にも泣き出しそうな顔に見えた。

「……。」

結衣は何も言えなかった。
奏空を嘘つきとは思わないが、夢の中で真実を知っているなら話してほしかった。
逆に、夢から覚めた時には真実なんて知らない方が良かったとも思っていた。

どちらにしても結衣も少なからず奏空を責めていたのには違いなかった。

「俺は奏からすれば、ただの裏切者だから…。」

奏空は余程自分を許せないのだろう。
哀しい顔は自嘲したような顔に変わっていた。

そして彼女は今もそのまま、心を閉ざし眠り続けている。


「だから怖かった。夢の中で偶然結衣ちゃんに逢ったけど…もしそれが原因で奏みたいに眠り続けてしまったら…と思ってた。」

そうか、これだったのだ。
…と結衣は思っていた。
奏空のあの冷たいのに哀しい顔の理由。
今、やっとそれが解っていた。


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