星の唄


「奏さん、別に奏空の所為だなんて思ってないと思う。」

「え…?」

奏空は突然の一言に目を丸くして結衣を見た。

「ただ…ホントのことを知ってたのに教えてくれなかったから…たぶん寂しかったんだと思う。」

結衣は考えながらそう付け加えた。
もちろん、そう思う理由もあった。

結衣は奏空と星の話をするのが好きだった。
話すうちに、いつの間にか奏空との時間が大切になり…奏空のことも大切に想っていた。
奏空もそう想ってくれている…と少しだけ思っていた。

だから。
結衣は自分だけには本当の事を話して欲しかったと思っていた。
話してくれなかったことに寂しさも覚えた。
冷たくて哀しい顔の理由も知りたかった。

きっと奏も同じではないが、似たような気持ちだったに違いない。

「それに。眠り続ける奏さんの為に¨星のかけら¨を作ったんでしょう?」

奏が奏空の事を裏切者と嫌っていたのなら、¨星のかけら¨を見つけた時にあんなに嬉しそうな顔をするはずがない。


「¨星のかけら¨か…。結衣ちゃんは覚えてる?」

急に思い出したように奏空は結衣に問い掛けた。
先程の嫌な笑いではなく、何か遠い昔を見ているような顔をしている。

「何を…?」

突然覚えているか、と問われても結衣には何の事か解るはずもない。
結衣は首を傾げた。


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