星の唄
(…ここは。)
そこは前と同じように何もない真っ暗な空間。
奏と結衣が出会った場所だった。
「また来たの?」
結衣の後ろから聞き覚えがある女の子の声がした。
暗闇で顔が見えない事は前に来た時に解っている。
結衣は明かりの代わりにポケットから星のかけらを取り出した。
星のかけらは前と同じように白く光っている。
辺りはボンヤリと明るくなった。
声の主を見ると、思った通り奏がそこにいた。
「あなたに聴きたい事があるの。」
「聴きたい事…?」
「そう。あなたがこの夢にいる理由を知りたくて会いに来たの。」
「……。」
奏は結衣を見つめたまま、少しの間黙っていた。
言うべきか言わないべきか考えているのだろうか。
結衣は奏の答えを待っていた。
奏は根負けしたのか一つ溜息をつき、話を変えた。
「それより¨星のかけら¨奏空から預かってるんでしょ?それ渡してくれる?」
奏はそう言いながら結衣に手を出す。
けれど、結衣は首を横に振った。
「答えを聞くまでは渡せない。」
星のかけらを渡したら奏には会えなくなる、結衣はそう思っていた。
事実、奏もそう考えていた。