星の唄
「でもなんで¨星のかけら¨なの?」
「なんとなく…。お星様の話だから。」
「お星様…奏空には聞いてみた?」
結衣はなんとなく奏空が教えてくれた星月夜が頭に浮かんだ。
奏空の部屋にはたくさんの星の本もあった。
もしかしたら答えを知っているかもしれないと不意に思った。
「…聴いてない。」
奏は小さな声で答えた。
「ね。もし良ければ一緒に戻らない?」
「え…?」
そんな奏に結衣は思いついたように声をかけた。
奏は目を丸くする。
「それからもう一度ここへ来て、奏空にそのお話を見せてみない?一人じゃ解らないよ、きっと。みんなで考えよう。」
「………。」
奏はしばらく黙ったまま、結衣を見つめていた。
結衣も奏を笑顔で見つめ返していた。
奏空も結樹も夢の中にずっといるのは身体に悪いと言っていた。
奏の気持ちも解るけれど、こんな暗い所に独りでいるのはきっと寂しい。
心にも良くないだろう。
それに奏空が奏の帰りを待っている。
結衣は奏空のあの哀しい顔を全部笑顔にしたかった。
「…わかった。あなたと一緒になら帰ってもいいよ。」
奏はとびきりの笑顔を見せた。