星の唄
星の唄
「お兄ちゃん、ただいま。」
結衣は夢の中から無事に戻って、ノアの箱舟から姿を現した。
「おかえり。奏空が心配してたよ。今は奏が目を覚ました連絡があって慌てて行ったけど。」
結樹は笑顔で結衣を迎えた。
結衣は携帯を持って行ったが連絡の一本も入れていなかった。
深い夢では追うこともできず、結樹や奏空はただ待つことしか出来なかったのだ。
本当はとても心配していた結樹だが、結衣の笑顔を見て安心し、思わず笑みがこぼれていた。
結樹に迎えられ、結衣も笑顔を見せた。
結衣は奏空が目を覚ました奏の所へ行くことは解っていたし、奏が目を覚ますことも知っていた。
だからその話を聞いても驚きはしなかった。
けれど、奏の心配していた。
「うん。知ってる。お兄ちゃん、私も奏さんのところに連れてって。」
「行くのか?ま、いいけど。」
結樹は不思議そうな顔をした。
結衣が奏に話をしたから目を覚ましたのはなんとなく解ってはいたものの、結衣が奏に会う理由が解らなかったのだろう。
二人は奏の部屋に向かった。