星の唄
ホールに着くと、すでに結樹と鈴音がいた。
「遅くなってごめんなさい!」
「大丈夫。」
「大丈夫ですよ。」
結樹と鈴音は同時に答えた。
同時だったことに結樹は驚いたのか鈴音を見ていたが、鈴音は結衣に笑顔を送っていた。
三人が奏の部屋に着くと、笑顔の奏空が待っていた。
「いらっしゃい。入って。」
奏空に言われるまま中に入ると、奏も笑顔で出迎えてくれた。
やっぱり二人の笑顔は本当によく似ている。
結衣の好きな笑顔だった。
「奏。揃ったよ。話してくれる?」
全員揃った所で、奏空は奏に声をかけた。
奏は頷き、ゆっくりと話し始めた。
「あのね…私、あの夢の奥が見たいの。」
「夢の奥…?」
「夢の奥ですか…?」
夢の奥のことは誰も知らなかったのだろう。
結樹も鈴音も顔を曇らせた。
奏空も何か考えながら聴いている。
「迷子になった時に夢の奥で扉を見つけたの。でも扉には鍵が掛かってて…。」
鍵と聴いた瞬間に結樹が何か思い出したようだったが、それは誰も気付かなかった。
「その鍵がなぞなぞみたいなの。扉の前でお話が流れて、それがパズルになってるの。」
「「「…?」」」
奏の話は結衣も夢の中で解らなかった。
今、話を聴いた奏空も結樹も鈴音も首を傾げている。
恐らくは説明が下手なのではなく想像がつかないのだろう。