星の唄


ホールに着くと、すでに結樹と鈴音がいた。

「遅くなってごめんなさい!」

「大丈夫。」
「大丈夫ですよ。」

結樹と鈴音は同時に答えた。
同時だったことに結樹は驚いたのか鈴音を見ていたが、鈴音は結衣に笑顔を送っていた。


三人が奏の部屋に着くと、笑顔の奏空が待っていた。

「いらっしゃい。入って。」

奏空に言われるまま中に入ると、奏も笑顔で出迎えてくれた。
やっぱり二人の笑顔は本当によく似ている。
結衣の好きな笑顔だった。


「奏。揃ったよ。話してくれる?」

全員揃った所で、奏空は奏に声をかけた。
奏は頷き、ゆっくりと話し始めた。


「あのね…私、あの夢の奥が見たいの。」

「夢の奥…?」
「夢の奥ですか…?」

夢の奥のことは誰も知らなかったのだろう。
結樹も鈴音も顔を曇らせた。
奏空も何か考えながら聴いている。

「迷子になった時に夢の奥で扉を見つけたの。でも扉には鍵が掛かってて…。」

鍵と聴いた瞬間に結樹が何か思い出したようだったが、それは誰も気付かなかった。

「その鍵がなぞなぞみたいなの。扉の前でお話が流れて、それがパズルになってるの。」

「「「…?」」」

奏の話は結衣も夢の中で解らなかった。
今、話を聴いた奏空も結樹も鈴音も首を傾げている。
恐らくは説明が下手なのではなく想像がつかないのだろう。


< 137 / 189 >

この作品をシェア

pagetop