星の唄


「それじゃ私も戻るね。」

結樹と鈴音が席を立つのを見て結衣も席を立つ。

「あ、うん。ゆっくり休んでおいてね?」

「うん。奏空、奏さん、また後でね。」

結衣は奏空と奏に挨拶をしてそのまま部屋を出ようとした時、ポケットの中に有るものを思い出した。

「あ…。」

「ん?どうかした?」

ドアまで見送っていた奏空が、突然止まった結衣に首を傾げる。
結衣は振り返り、ポケットから¨星のかけら¨を取り出し奏空に差し出した。

「奏空、これ。奏さんの星のかけら。返すの忘れてた。奏空から渡してあげて。」

「あぁ、そうだったね。ありがとう。」

結衣は奏空の出した手にそっと¨星のかけら¨を置いた。

「それじゃ。また後でね。」

「うん。」

奏空と笑顔を交わし、今度こそ結衣は部屋を跡にした。


       *


部屋に戻り、ベッドに腰を下ろした結衣は星の唄のような時計に目を落とす。

(…そういえば、これも星の話なんだよね…。)

時計は調度、緑の星にシアとツヒルイが涙を零した所だった。


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