星の唄
夜。約束の時間。
結衣、結樹、奏空、鈴音は奏の部屋に集まっていた。
「お兄ちゃん、これ何…?」
「ん?あぁ、ノアの箱舟だと全員同じ夢に行けないかもしれないからな。」
「これで行けるの…?」
結衣は思わず疑ってかかる。
なぜなら彼女達の目の前にある機械は、何の変哲もないフルフェイスのヘルメットにしか見えないのだ。
「結衣ちゃん、大丈夫だよ。プログラムの確認とかに何人かで入る時に実際使ってるんだよ。」
「へぇ…。」
結衣は不思議に思いながらその機械を手に取るが、近くで見てもヘルメットにしか見えない。
奏も結衣と同じように不思議そうに見ていた。
「ところで鈴音も行く気か?」
結樹は連絡用の携帯を配りながら、鈴音に問い掛ける。
いつも何かある時は二人の補佐である鈴音は待機することになっていた。
「もちろん行きますよ。大丈夫です。何かあった時の為に監視は透夜にお願いしてありますから。」
「そうか…。」
結樹は何だか納得行かない表情で鈴音にも連絡用の携帯を手渡した。
「じゃ、ヘルメット被って。スイッチ入れてくれ。」
結樹の掛け声で全員ヘルメットを被り、ベッドに腰を下ろしスイッチを入れる。
そしてそのまま全員夢へと落ちて行った。