星の唄
「ここ。」
夢の中をしばらく進み、奏が『ここ』だと指した場所には扉が見えた。
扉は黄土色の木で作られた普通の大きさで、宙に浮かんでいる。
取っ手はなく、表面には木目模様のみで、ポツンと小さな鍵穴が見えるだけの扉だ。
「ホントに扉なんてあるんだな…。」
「あぁ…。」
結樹も奏空も夢の奥に扉があるなんて思ってもみなかったのか、不思議な顔をして扉をまじまじと見つめていた。
「奏さん、どうしたら鍵が現れるんですか?」
鈴音は二人を余所に、一人冷静に話を進めていた。
「あ、えと…開いてほしいって思いながらこの扉を触るの。」
そう言いながら奏が扉に触れると、扉が光り出し、そこから何か飛び出して辺りに散らばり始めた。
散らばったモノをよく見ると大きさは掌の四倍くらいで、ジグソーパズルのような形をしている。
裏にも表にもそれぞれ何か絵が描かれていて、その絵も少しずつ動いている。
パズルの色は優しい色だった。
動いていて正確な枚数は解らないが、おそらくは20枚もないだろう。
そして、扉から『お話』が流れ出した。