星の唄


話を読む声は優しい女性のもので、聞いたことがあるような、ないような、不思議な声。
聴こえて来る話は結衣の大好きな話だった。


「「「楓さん……?」」」

「え…?」

突然、結樹、奏空、鈴音が声を揃え同じ名前を口にする。
特に奏空と結樹は目を見開いている。

「楓さんって…?」

「あぁ、結衣は知らないか。奏空の前にプログラム部にいたんだ。もう亡くなってるけど…。」

結樹は結衣にザクッと説明をしてまた目を扉に戻す。
奏空も鈴音も扉を見たままだった。

「何で楓さんかは解らないけど…この話通りにパズルを並べてタイトル付ければいいんだよな…?」

扉の横に浮かんだ文字を見て奏空は呟く。

「お兄ちゃん解るの?」

「うん。これは楓さんが俺に教えてくれた話だから…。」

そう言って散らばるパズルを奏空は順番通りに次々と並べていく。

「次はこれだよね?」

「あ、ありがとう。」

もちろん結衣にも解る話だったので、続きを奏空に渡す。
一人よりは二人の方が早いだろう。

「結衣も知ってたのか?」

「うん。」

手伝う結衣を見て、結樹は不思議そうな顔をする。
結樹はこの話を知らなかった。


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