星の唄


「これで最後。」

奏空が最後のピースをはめ込むと、今度はタイトルを入れるように…と扉の前にパソコンのキーボードが現れた。
奏空は躊躇わず、そこにタイトルを打ち込む。

『ホシノウタ』

タイトルを打ち込んだ瞬間キーボードはなくなり、扉が開いた。

「…あ、開いた……。」

奏にはどうやっても開けられなかった扉は開いていた。

「行こう。」

奏空を先頭に結樹、結衣、奏、鈴音は中に入って行った…。


扉の中は暗かった。
ここでは星のかけらも光っていない。

けれど、全員が中に入った瞬間にパッと明かりがついた。
そこは星の部屋のような空間だった。


『いらっしゃい!!』

「「「「「え…?!」」」」」

突然の声に全員が驚き、声がする方を見ると、一人の女性が居た。
居たというよりも、正しくは残像のように透き通っている。
女性は黄土色の長い髪をひとつに束ねていて、細くスラッとした体型で、黒のタートルネックにジーパン、白衣を着てそこに浮かんでいた。
目の色は綺麗な深い蒼で吸い込まれそうな色だと結衣は思った。

「「「楓さん………。」」」

奏空、結樹、鈴音はまた声を揃えて同じ名前を口にする。
おそらくはこの女性が楓なのだろう。


< 145 / 189 >

この作品をシェア

pagetop