星の唄
「これで最後。」
奏空が最後のピースをはめ込むと、今度はタイトルを入れるように…と扉の前にパソコンのキーボードが現れた。
奏空は躊躇わず、そこにタイトルを打ち込む。
『ホシノウタ』
タイトルを打ち込んだ瞬間キーボードはなくなり、扉が開いた。
「…あ、開いた……。」
奏にはどうやっても開けられなかった扉は開いていた。
「行こう。」
奏空を先頭に結樹、結衣、奏、鈴音は中に入って行った…。
扉の中は暗かった。
ここでは星のかけらも光っていない。
けれど、全員が中に入った瞬間にパッと明かりがついた。
そこは星の部屋のような空間だった。
『いらっしゃい!!』
「「「「「え…?!」」」」」
突然の声に全員が驚き、声がする方を見ると、一人の女性が居た。
居たというよりも、正しくは残像のように透き通っている。
女性は黄土色の長い髪をひとつに束ねていて、細くスラッとした体型で、黒のタートルネックにジーパン、白衣を着てそこに浮かんでいた。
目の色は綺麗な深い蒼で吸い込まれそうな色だと結衣は思った。
「「「楓さん………。」」」
奏空、結樹、鈴音はまた声を揃えて同じ名前を口にする。
おそらくはこの女性が楓なのだろう。