星の唄


三人は黙ったまま、楓を驚いた表情で見つめている。

『…もう話をしてもいいかしら?』

楓と呼ばれる女性の残像は伺うように、言葉をなくしている全員に問い掛けた。

「仕方ないだろ…『こっちだって驚いてるんだ…かな?結樹が言いたいのは。だから驚く時間も作ってあげたでしょう?』

問い掛けに答えた結樹の言葉は途中から楓に取られてしまっていた。
楓はとびきりの笑顔。
思わず結樹は無言になり、仏頂面になる。

そんなことは気にせずに、楓は笑顔で話を続けていく。

『でも良かった…。ここにきて、これを聴いてるってことは、奏空は奏と仲直り出来たのね。』

「「え…?」」

奏空と奏は驚き、楓を見る。
二人以外も理由が解らないといった顔で楓を見た。
楓は笑顔のままでさらに話を続けていった。

『だって、ここは二人が揃わないと入れないように私が後から作ったのよ。ここの扉は奏しか見つけられなくて、鍵は奏空が好きな話にしてあるの。』

「「「「「え?!」」」」」

今度は全員が楓を見た。
全員ここは奏空と奏の親、満月が作ったものだと思っていた。
それをいきなり楓が作ったと言われれば、驚かずにはいられない。

『あ!!もちろん満月さんが作ったものは、この奥にあるから安心してね。』

楓は驚く顔を見て慌てたのか、そう後から付け足した。

「この奥へはどう行けばいいんですか?」

この奥に行きたい奏は楓に恐る恐る聴いた。


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