星の唄
今度の扉の中も星のかけらが光らない暗闇だったが、全員が中に入ると自然に明かりがついた。
「ここは…草原?」
目の前に広がったのは、結衣が見たこともない緑の生い茂る綺麗な大草原と青く晴れ渡る広い空だった。
奏空の部屋にある碧い星の写真集の中で結衣が幾度となく憧れた青い空。
遠くにある青い波から、優しい音も聴こえて来る。
その光景の綺麗さに、全員言葉をなくしていた。
しばらく青空や草原を眺めていると、次第に空は紅くなり始める。
その紅は優しい色で、たくさんのものをそっと包んでいく。
遠くの青い波…草原…だんだんと紅く、紅く、染めていく。
そして紅に染まった世界はそのまま紺色に変わる。
夜を唄う空には、たくさんの星が散りばめられて、優しい光になる。
優しい光に包まれて、白い月が顔を見せる。
月の光は青い波や草原をふわりと包み込んでいく。
声も出ないほど美しい、初めて目にする光景。
これが、今は誰も知らない¨碧い星¨の本当の姿だった。