星の唄
『これが本当の¨碧い星¨なのよ。』
不意に声がした方を見ると一人の女性が立っていた。
肩より短く斜めに切り揃えられた、ほとんど金色に近い茶系の髪。
黒いVネックのインナーに、ジーンズ、そして楓と同様に白衣を着ていた。
瞳は奏空と同じ、優しい夜の色。
「満月さん………。」
その女性を見て、鈴音は思わず呟いていた。
彼女が奏空達の母親の満月なのだろう。
奏空と奏を見ると、瞳は紅くなっていた。
『碧い星って綺麗でしょ?これをあなた達に見せてあげたかったの。』
満月はにっこりと笑った。
奏空は満月に話したいことも、聴きたいことも、たくさんあった。
奏空を護って亡くなった満月。
満月を護って奏空の父親である晴(セイ)も亡くなった。
二人に護られて、奏空が目を覚ました時には、両親はもう目を開けることはなかった。
そして…護られていた奏空の片足も失くなっていた。
それもこれも全てはこのプロジェクトの所為だった。
こんなプロジェクトを立ち上げた人も、プログラムを作った人も、許せなかった。
そのせいで奏空は両親と片足を失った。
そう思っていた。
けれど…。
大きくなり、プロジェクトチームに入って知ったこと…それは、このプロジェクトを立ち上げたのは父の晴で、プログラムを作ったのは母の満月ということだった。