星の唄


「私は¨この碧い星¨が好き。」

結衣はもう一度ハッキリと奏空達に答えた。

「だって、この¨碧い星¨にはたくさんの¨想い¨がいっぱい詰まってるから。」

「想い…?」

首を傾げた奏空を見ながら結衣は話を続けていく。

「¨碧い星¨を護りたい想い。喜び、楽しみ、哀しみ、苦しみ…恨みもあるかもしれない。…それから大事な人を護りたい想い。どんな想いも全部¨碧い星¨にはあるの。だから好き。」

そして結衣はとびきりの笑顔を見せた。


「哀しみや苦しみがあっても好きなの…?」

それまで静かに聴いていた奏が結衣に問い掛けた。

「もちろん。」

結衣はまた笑顔を見せる。

「あのね、知ってた?¨想い¨ってどんなものでも独りきりじゃ生まれないんだよ。」

想いは誰かを想うから生まれてくる。
何かを想うから生まれてくる。
独りぼっちじゃ、それが哀しい気持ちか苦しい気持ちかなんて解らなかった。

結衣はそう思っていた。


「それにね。独りぼっちじゃないから、哀しみや苦しみを独りきりで背負わなくてもいいんだよ?」


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