星の唄
やっぱり奏空に嘘を突き通せるはずがなかった。
事故が起きて3日目の夜。
それが限界だった。
「かえでおねえちゃんのうそつき!!」
部屋で奏空は暴れ出した。
けれども足は動かず、走ることも出来ない。
奏空はどうすることも出来ずに周りのものを投げ、手をバタバタさせた。
なんとか奏空を止めようとする人を手で叩き、叫び続けていた。
「…ごめんね。」
それを見た楓は奏空をギュッと抱き締めた。
抱き締められた奏空は、それでも止まらない。
楓は奏空を抱き締めたまま何も言わなかった。
ふ…っと、泣きじゃくる中で奏空はぼんやりと最後に両親に抱き締められたのを思い出した。
『奏空、ごめんね。大好きよ。』
最後に見た満月の笑顔。
そのまま目の前は真っ白になった。
しばらくして奏空は泣きつかれ、やっと静かになる。
楓は変わらず奏空を抱き締めていたが、静かになった奏空に本当のことを話そうと、手を解いた。
「あのね、奏空。今度は嘘をつかないから聴いてくれる?」
楓の顔はいつもと違っていて、奏空には少し恐いくらいだったけれど、奏空は楓に向かって、コクンと頷いた。