星の唄
「あのね。パパとママはもういないの。奏空と奏を置いて、お空に行っちゃったの。」
「おそら?どうして?」
「どうしても。」
「おむかえにはこないの?」
「来れないの。」
「なんで?」
「なんででも。」
「………。」
奏空の顔は見る見るうちに泣き顔に変わっていく。
楓はそれでも話を続けていく。
「それからね。奏空の足は動かないんじゃなくて…もうないの。」
「え?!」
奏空は涙を止めて驚く。
「嘘じゃないよ。もう嘘はつかない。ほら。」
「……っ!!!!」
楓は奏空の布団をめくり、ズボンの裾をあげた。
そこにあるのは銀色の機械。
奏空は言葉を無くした。
幼い奏空が何を考えているのか、楓には解らなかった。
しばらくの間、奏空はぼーっと銀色の足を見つめ、頬には涙が伝っていた。
楓は奏空の傍にずっと居続けた。
「かえでおねえちゃん。」
半日が過ぎた頃だろうか。
奏空は急に楓に声をかけた。
「なあに?」
「パパとママはどこ?」
奏空は空を指した。
楓が見上げると夜から半日ほど過ぎた空は、青く、哀しいくらいに綺麗に晴れ渡っていた。