星の唄
楓はその空に向かって真っ直ぐ手を伸ばす。
「パパはこの晴れた空。ママはあそこに浮かぶ白いお月様だよ。」
楓は奏空が解りやすいようにゆっくりと指で示した。
「このそらがパパ?ママはまぁるいおつきさま?」
「そうだよ。」
不思議そうな奏空に楓は笑顔を見せる。
「ふうん…。」
解っているのかは解らないが、奏空は晴れた空と丸い月を交互に眺めていた。
しばらくして、奏空は銀色の足を見つめる。
「かえでおねえちゃん、あしはなおる?」
「治らない…でも頑張れば歩けるようにはなるよ。」
楓は本当に嘘をつくのをやめた。
例えそれが哀しい真実だとしても…。
そう決めたのだった。
「わかった。がんばる。」
想いが伝わったのか、奏空は楓の言葉に頷いた。