星の唄
奏空は戸惑いながら先客に声をかけた。
「…結衣…ちゃん?」
奏空の声は星の海に響き、先客の耳に届く。
先客はその場に留まり、奏空を見た。
「……奏空…?」
先客はやはり結衣だった。
「結衣ちゃん、ここ、どうやって…?」
星の海を泳ぎ、結衣の隣に着いた奏空は不思議そうな顔を結衣に見せた。
「…あ、ごめんなさい。勝手に入ったの。」
「…勝手に……?」
ますます奏空の顔は曇る。
この部屋には勝手に入れるはずがない。
以前、奏空がこの部屋に初めて逃げ込んだ日も結樹や鈴音は入れずにいたことがある。
不正には入れないように外部からのアクセスにはロックをかけてあった。
「…ごめんなさい。」
結衣は申し訳なさそうな顔で、それしか言わない。
「…怒ってないよ。」
まずは結衣をなだめるのが先…と判断した奏空は結衣にいつもの笑顔を見せた。
その笑顔にホッとしたのか結衣も笑顔を見せた。