星の唄
「うわぁ………。」
中に入ってユイは思わず声を漏らした。
ユイの目の前に広がったのは本棚の森だった。
しかも本棚には本がギッシリ詰まっている。
本を見たことがないユイには夢のような場所だった。
「良かった、喜んでもらえて。僕の秘密の部屋。」
ソラも満足そうだった。
本は色々あった。
碧い星を写した写真集。
碧い星の美しさをを歌った歌集。
生き物図鑑。人類の歴史。
絵がたくさん描かれていて言葉が少ない本もあった。
バーチャル世界の図書館でも見たことがない。
授業にも出てこない。
ユイは驚きの連続だった。
その本の棚の中で、ユイは一冊すごく好きになったものがあった。
それは、碧い星ができる前を書いた神話。
『星の唄』
ユイの知らない言葉もたくさんあった。
どこの世界のものかも解らなかった。
でも優しい話だった。
「それが気に入った?」
「え?」
ユイはソラが居たことを忘れるくらい本に夢中だった。
突然声をかけられ、いきなり現実に戻った気がした。
「うん。すごく好き。」
「そか。じゃぁ、今度プレゼントするよ。」
「え!いいです、悪いから…。」
「いいから、いいから。でも本ではあげられないかもしれない…けど必ず贈るね。」
ソラはニッコリ笑って言った。