星の唄

偽り



臨時休校は終わり、学校側はシステムエラーの原因をウィルスだと発表した。
ウィルスの発生源については曖昧だったが、ウィルスは一掃し、さらにシステムを強化したと加えた。

併せて全体のシステムが回復したおかげでバーチャル世界も回復し、チャットも可能になった。

すべてはいつも通りに動きはじめた。


が、今日は学校再開の予備日だった為、授業がなく、課題提出をするだけだった。

ユイは課題を提出し、星の部屋へ急いだ。
休校の間、ソラの部屋でたくさんの本を読んで星を見ていたが、ずっと星の部屋に行きたくて仕方がなかったのだ。


星の部屋に着き、辺りを見回すと誰もいなかった。

「今日も貸し切りだ…。」

ユイは星の部屋を泳ぐのが好きだった。
宇宙に似せてあるのか、ここでは浮くことが出来るので、泳ぐことも出来る。
が…カップルが多いせいで、人がいる日に泳ぐと嫌な思いをすることが多い。
だからユイは一人の時しか泳がなかった。

ユイは泳ぎながら星月夜の話を思い出した。

星の部屋は星が明るくて月がなかった。
ユイは今まで月が明るいものだと知らなかったから何も思わなかったが、もしかしたらこの部屋は星月夜を好きな人が作ったのかもしれないと、ふと思った。

星の部屋は星月夜の中でもきっと一番星が多い日なのだろう。


< 32 / 189 >

この作品をシェア

pagetop