星の唄
「…それからもう一つ。この部屋を閉じることにしたんだ。ごめんね。」
「もう会えないってこと…?」
「…ううん。また…会えるよ。」
「わかった。」
ソラの顔はユイが今まで見たことがないくらい哀しい顔をしていたからかもしれない。
ユイは頷くしかなかった。
けれど…何故ソラがあんなに哀しい顔をしたのか、この時ユイには解らなかった。
「…それじゃあ、また。」
「ユイちゃんも元気でね?」
「うん。ソラもね。」
「うん…。」
元気がないソラを心配に思ったが、ユイは帰りの扉に手をかけた。
もう、窓からはたくさんの星が見えていた。
「あ、待って。一つだけ。」
「え?」
帰りかけたユイを引き留め、ソラは駆け寄った。
「これ…。」
「これは?」
ソラから渡されたのは綺麗に透き通った石だった。
その中に宇宙みたいな黒い部分があり、星がキラキラと輝いて見える。
「星月夜の落とし物。星のかけら。」
「星のかけら?」
「うん。辛いことがあったら割ってみて?」
「…わ、割るの?!」
「うん。」
「解った…。それじゃ。」
「…うん、またね。」
そう言ってユイに手を振るソラの笑顔は、ユイの好きな笑顔だった。