星の唄
無力
(…こんな計画無くなってしまえばいい…。)
被験者達に一応最初の説明を終え、ソラは部屋を跡にした。
¨実行班プログラム部室長¨
…なんて肩書きを持つソラだが、¨黒い星プロジェクト計画¨には反対をしていた。
とは言え、反対…なんて公の場で唱えれば捕まってしまうのだが…
今は心から、そう思っていた。
(………大丈夫かな…。)
ソラは星の見えない真っ黒な空を窓から眺めて溜息を付いた。
(会場内はきっとアイツがなんとかしてくれる…けど…。)
ソラはユイの心配をしていた。
ユイがソラに気付いていたかどうかは解らないが、ソラは部屋に入ってすぐ、ユイを見つけた。
話している間、だんだんユイの顔が暗くなり、最後は泣いてしまいそうな顔をしていたのも見ていた。
その顔を見ていたくなくてソラは部屋を出てきていた。
(…俺だってしばらく何も食えなかったしな…。)
人にはそれぞれ最悪のところがあって、それ以上は落ちたりしない。
ソラもそうだった。
ただ生きているうちには何回でも落ちることがあるし、最悪のところからは、なかなか戻れない。
だから、落ちるのが一回で済めば…と願って、話を先に進めようとしていた。
が……やはり無理があったのだ。
人には容量がある。
まだまだ若い彼ら被験者にはすべてを受け止める容量はなかった。
すべてを一度で伝える技量がソラに足りなかったのも原因かもしれない。
ソラは溜息をひとつ付き、星の部屋へ向かって行った。