星の唄
この実験は今までに何回か行われていた。
多くのデータを集める為、プログラムも5年ではなく1年で行ったり、対象年齢も今とは違い様々。
実は、奏空と結樹も以前は被験者の一人としてここにいたのだ。
亡くなった奏空の母から仕事を引き継いで、当時、室長を勤めていたのが『楓さん』。
奏空達より7つ年上で、皆のお姉さんだった。
彼女は、奏空達に真実を教えてくれた人でもある。
彼女が生きてさえいれば、今回の説明も彼女がするはずだった。
けれど、楓は奏空の両親と同じように、プロジェクト反対派のテロに遭い、命を落としていた。
その為、補佐役だった奏空が急遽室長になり、説明役となった。
人事が出てしまった以上は受け入れなければならないが、奏空には正直なところ自信がなかった。
「お二人ともこちらでしたか?」