星の唄


急に声がして、二人が振り返ると短い髪の一人の女性が星の部屋に入って来ていた。

「ちっ…見つかったか。」

「結樹さん、ちっ…じゃありません。」

「はいはい。解ったよ…。行けばいんでしょ、行けば。」

「返事は一回でお願いします。仮にも実行部の室長なんですから。」

「…はい。」


結樹にこれだけ言えるのは彼女だけだろう。
だから彼女が実行部副室長に任命されたに違いない。
誰もがそう思うほど彼女は結樹に厳しかった。


「結樹行こうか?鈴音(スズネ)さんありがとう。」

「いいえ。仕事ですから。」

そう言って彼女は笑顔を見せた。


「…笑顔はかわいんだけどな……。」

「結樹さん、何か言いました?」

「いいえ。何にも。奏空行こう。」


二人は渋々星の部屋を後にした。


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