星の唄
「奏空。」
「ん?」
奏空は会議室を出たところで突然呼び止められた。
「結樹か。」
「結衣に会いに行ってないのか?」
「………。」
「いつまでも逃げられないぜ?」
「解ってる…。」
「解ってるなら……あ…。」
「ん…?」
言いかけた結樹の視線が宙を舞う。
視線を追い振り向いた先に奏空は驚いた。
「………。」
「………。」
そこには結衣がいた。
どちらからも言葉は出て来ない。
気の性かもしれない。
奏空には結衣の瞳は哀しい色に見えた。
「どうして…ここに…?」
奏空がその言葉を発するのにどれだけの時間が経っただろう。
他の人からすれば凄く短い時間のはずだが、長い時間に感じていた。