星の唄
奏空は思わず溜息を付いた。
「…溜息なんて付くなよ。ほら、仕事に戻るぞ。鈴音にまた怒られる。」
「…あぁ。」
「…結衣のことは後で聞いとく。」
「…あぁ。」
「…聞いてるか…?」
「…あぁ。」
「……聞いてないのか?」
「…あぁ。」
「………。」
結樹が何を言っても奏空の表情は暗かった。
と、言うよりは結樹の声は奏空に届いていなかった。
正直、奏空は仕事どころではなかった。
きっと星の部屋に逃げ込んでも変わらないだろう。
結衣はいつも相手の目を見て話していた。
それが声をかけてもこちらを見ないのだから。
落ち込まずにはいられない。
「……。ほーらっ!!行くぞ!!」
痺れを切らした結樹は奏空の背中を押し、奏空を引き連れ仕事へ戻って行った。