星の唄


(…本当は会いに行きたい。)


奏空は結衣と見る空が好きだった。

結衣と見る空は優しくて。
朝は光りが身体に染み込み。
夜は星が歌っていた。

特に星月夜は無理して作った自分が剥がれ落ちるみたいだった。


奏空は結衣に初めて会うまで、空が見れなくなっていた。


空はいつも奏と見ていた。
でも彼女は自分の所為で心も閉ざし、眠っていた。
夜でも朝でも。
空を見ると奏を思い出した。
二人で見ていた空を一人で見るのは辛かった。


(…結衣ちゃんに会いに行かない方がいい。)


もちろん明確な理由があるわけではない。
ただ会うのが怖くて、自分にそう言い聞かせていた。


不思議だったのは舞衣と結樹だ。
奏の事を知っていて結衣に会いに行けばいいという二人。
上手く隠してはいたが、実験中、結衣に会っていたのを二人は知っていたはずだった。


一度会っていて…今、会えば状況は奏と同じだった。


結衣が奏のように心を閉ざすことがあるのではないか?
二人はそう考えたりしないのだろうか?


結衣が眠り続けてしまったらどうすればいい…?


そればかりが奏空の頭の中をぐるぐる回っていた。


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