星の唄
朝。
奏空はいつものようにプログラム部に現れた。
けれど、中はいつもと同じではなかった。
「奏空!!引き継ぎは後だ!!被験者が一部夢に落ちた!!結衣もだ!!」
「え………?」
いきなりで何が起きたかも解らなかった。
中では全員がコンピュータを叩いている。
夜勤以外もいる。
普段ここへは来ないリーダーの舞衣もコンピュータに向き合っていた。
慌てた結樹は今なんて…?
結衣が落ちた…?
「奏空!!今ならまだ間に合う!!迎えに行け!!」
聞き間違いではなかった。
昨日の帰りに確認した時は、結衣の精神状態も安定していた。
会いにも行っていない。
それなのにどうして?
結衣以外も…?
バグは起きていない。
バグが発生したら、どんな時も警報が鳴るようにセットしてある。
けれど警報は鳴っていない。
もちろんバグも起こしていない。
何故なんだ…?
こんなことなら早くコンピュータを止めておくべきだった。
後悔する暇はなかった。
奏空は携帯を持ち、ノアの箱舟に乗り込んだ。
「結樹!!ここは頼む!!」
「解った!!」
奏空はそのまま結衣の夢へ落ちて行った。