星の唄


(…ここは?)


夢の中。
…だと思う。

ユイがいたのは、あの椅子に座っていた時に見せられた夢と同じ家の中だった。
ここは恐らく¨YUI¨と書かれていた部屋だろう。

また夢を見せられているのだろうか?


…―コンコンッ。


「入るぞ?」

聞き覚えのある声がして扉が開いた。


「ユイ、おかえり。おつかれさん。」


そこにいたのは、細身で背が高く、男性にしては少し長めの藍色の髪。
…そう、あのステージで司会をしていた男性だった。


「あの…あなたはあのステージに居た方ですよね?」

「うん。正解。よく覚えてたね?」


不安そうなユイに対して、彼は嬉しそうに頷いた。


「これも見せられた夢ですか?」

「それも正解。」


正解と言われても嬉しいはずもない。
見せられた夢であればこれも真実ということだろう。
夢くらい自由に見せてくれてもいいとは思う。


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