星の唄


「何から話そうか?」

結樹は笑顔で結衣に問い掛けた。
なんでだろう?
結衣にはその笑顔が懐かしく思えた。


「もちろん全部知りたいです。」

「欲張りだなぁ。でも何が一番?」

「………。」


一番と聞かれて、家族のことが浮かんだ。
見たことがない家族。
実験台にしておいて夢にも現れない。
そんなの家族なんて言えるのだろうか…?


「私が…星を好きな理由が知りたいです。」

「え…?星…?」

「はい。」


まさか星なんて言われるなんて思っていなかったのだろう。
結樹は目を見開いて固まっていた。

結衣は自分を捨てた家族を知るよりも、ずっと側にいた星のことを知りたかった。
なんでこんなに想い焦がれるんだろうか?
星を好きになった理由に何かあるような、そんな気もしていた。


「まさかそう来るとは…。よし。それはまた適任者を連れて来るよ。」

「…適任者…ですか?」


一瞬ソラが浮かんだ。
結樹はソラと仲がいいんだろうか?
ソラに会えるんだろうか?


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