星の唄
「うん。俺の悪友。」
「悪友…?」
「おう。」
悪友と言われるとソラからのイメージとは違う。
結衣の中のソラは優しい星月夜みたいだった。
彼にはその悪友がとても大切なんだろう。
嬉しそうに笑って言った。
「じゃ、今日は家の中の探索にしよう。気になったら触ってごらん。」
「触るんですか?」
「ああ。そしたら記憶が少し夢になる。今日は残り時間からして、たぶん2つか3つくらいかな?」
「2つか3つ…。」
「これだ!!って思ったら見ようとしてごらん。」
「はい。」
それじゃ。と言って結樹はポンッと姿を消した。
夢とは便利なものだと改めて感じた。
気になるものと言われても知らないことばかり。
まだ自分の名前しか知らないのだ。
(…ここが私の家なんだ。)
捨てた家族も住む家。
結衣を捨てた家族がいるはずなのに、なぜだか暖かい匂いがした。
この暖かさと…どちらが本当なのだろう?
結衣はとりあえず部屋を見渡した。
ここが結衣の部屋で間違いない。
とりあえず自分の好きなところからが基本だろう…。
結衣は本棚を探しはじめた。