星の唄


「おにいちゃんもほしづきよしってるの?」

星月夜を知っている人は結衣の周りではいなかった。
青年は「知ってるよ」と言わんばかりに、またニッコリ笑った。

結衣はやっぱり解らなかった。
星月夜を知っていて星が嫌いなんて絶対にない。

「それなのに、なんでほしがすきじゃないの?」

結衣の目は真っ直ぐ青年を見た。
青年はその真っ直ぐな視線を反らすことなんてできなかった。
彼はしばらくしてゆっくりと大きく深呼吸して、空を見ながら話し始めた。

「…大切な人と…星を見てた。でも今はいない…それが辛い…。」

一言一言、ゆっくりと話すその声は、まるで泣いているようにも聞こえる。

「なんでいないの?」

「俺のせい…なんだ。眠ったまま…起きないんだ。」

そう言いながら青年は結衣に向き直り笑顔を作った。
その笑顔は泣き顔にも見えた。


「…それなら、たくさんほしをみないといけないね。」

結衣は笑顔で青年を見た。


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