星の唄
「え……?」
たくさん見なければならないと言われた青年は固まっていた。
この話をして「そうなんだ…」とか、謝罪をする人、黙ってしまう人もいた。
けれど、星を見ろと言う人は一人もいない。
恐らく相手は10歳〜12歳。
確かに子供には難しい気持ちかもしれない。
それでも、解らない。
今度は青年が聴く番だった。
「なんで見ないといけないの?」
「ん?だって、みれないこがいるんでしょ?かわりにたくさんみといてあげなきゃ!」
休んだ人が居たら、代わりにノートを録ってあげないと…と言うように、結衣はサラリと答えた。
「あ。さみしいならわたしがいっしょにみてあげるよ。」
さらに笑顔で一言付け加えた。
その言葉に青年はまたも止まるしかなかった。
止まっている青年を他所に結衣は紙を取り出して何か書き始めていた。
青年はただその様子を見守っているように見えた。