星の唄
結衣は部屋に戻り、ベッドに倒れ込み、溜息をついた。
今日の話を思い出しながら、いつの間にか眠りに落ちていった。
*
結衣はまた夢を見ていた。
今度も自分の部屋にいる。
三回目となれば慣れたもので、結衣は来訪者を待った。
…―コンコンッ。
「や。一回目の講義はどうだった?」
ノックをして入って来たのは昨日と同じ人物だった。
細身で背が高く、男性にしては少し長めの藍色の髪。
結樹と名乗った男だ。
「いらっしゃい。聞きたいことがあるの、お兄ちゃん。」
“お兄ちゃん”
その結衣の言葉に一瞬結樹は固まり、そして笑顔を作った。
「おかえり、結衣。」
「…ただいま。」
おかえりという言葉は結衣にとっては答えだった。
そう。
結樹は結衣の兄だった。
結衣は家族に捨てられたわけではなかった。
ずっと結衣の家族は結衣を見守っていた。
プロジェクト被験者になったのも結衣自身の希望だった。