華の咲く場所
「あなた可愛い顔してたのに・・・残念ね!もし私を慕ってくるのなら、可愛がってあげようと思っていたのに!」
ぶん、お姉さまの持つ包丁が空を割く音が聞こえて、これまでか、と思って目を閉じる・・・が、いくら待っても身を裂く痛みは感じられない。
まさか、いくらなんでも即死なんてことはないだろう、この激情に駆られた女のことだ、何も考えず、ただただ切り裂いてくるだけに違いない。
なんだろう、やたらと周りの女たちが騒がしい。
「・・・私のものに、何をする?」
聞こえるはずのないその声に驚いて、目をあけると、そこには昨晩まぐわいあった男―――紅藤様がいた。
素敵なお顔には笑みが浮かんでいるのに、普段なら深い碧色の目が、真っ黒に淀んで見えるのはどうしてだろう。
「まぁあっ!お見苦しいところをお見せいたしました!さぁさ、こちらにどうぞ?」
お姉さまの順応性には感服する・・・どうして、あんな一部始終を見られておいて、そこまで簡単に態度を変えることができるのだろう。
「私の質問に答えろ、女。」
「まぁ、女などとお呼びにならずに、栖鳳とお呼びくださいな!」
お姉さまが紅藤様のわかりづらい怒りを感じ取れず、いっそ空気を読めていないほどに媚びを売って紅藤様の腕に絡みついた―――その時。
『どぅん』
「きゃあぁぁあっ」
「いやぁあ!」
突然響いた聞きなれないその音に、女たちは洗脳から解かれたかのように口から金切り声を出して一斉に個室から出て行き、腕に絡みついていたお姉さまは、腰が抜けたようで、その場にみっともなくへたり込んでしまった。
「質問に答えろ、女。」
万人におびえを感じさせる音を出したそれ―――ピストルから出る煙をふーっと吹きながら紅藤様はなおもお姉さまに詰め寄った。
「それとも、風穴がほしいのかい?」
「そっその女が!!」
お姉さまは恐怖に歪んだ、美しさな完全にどこかに置き忘れたような顔で、先ほどよりもさらに醜い、苦い毒のようなことを言う。
*
ぶん、お姉さまの持つ包丁が空を割く音が聞こえて、これまでか、と思って目を閉じる・・・が、いくら待っても身を裂く痛みは感じられない。
まさか、いくらなんでも即死なんてことはないだろう、この激情に駆られた女のことだ、何も考えず、ただただ切り裂いてくるだけに違いない。
なんだろう、やたらと周りの女たちが騒がしい。
「・・・私のものに、何をする?」
聞こえるはずのないその声に驚いて、目をあけると、そこには昨晩まぐわいあった男―――紅藤様がいた。
素敵なお顔には笑みが浮かんでいるのに、普段なら深い碧色の目が、真っ黒に淀んで見えるのはどうしてだろう。
「まぁあっ!お見苦しいところをお見せいたしました!さぁさ、こちらにどうぞ?」
お姉さまの順応性には感服する・・・どうして、あんな一部始終を見られておいて、そこまで簡単に態度を変えることができるのだろう。
「私の質問に答えろ、女。」
「まぁ、女などとお呼びにならずに、栖鳳とお呼びくださいな!」
お姉さまが紅藤様のわかりづらい怒りを感じ取れず、いっそ空気を読めていないほどに媚びを売って紅藤様の腕に絡みついた―――その時。
『どぅん』
「きゃあぁぁあっ」
「いやぁあ!」
突然響いた聞きなれないその音に、女たちは洗脳から解かれたかのように口から金切り声を出して一斉に個室から出て行き、腕に絡みついていたお姉さまは、腰が抜けたようで、その場にみっともなくへたり込んでしまった。
「質問に答えろ、女。」
万人におびえを感じさせる音を出したそれ―――ピストルから出る煙をふーっと吹きながら紅藤様はなおもお姉さまに詰め寄った。
「それとも、風穴がほしいのかい?」
「そっその女が!!」
お姉さまは恐怖に歪んだ、美しさな完全にどこかに置き忘れたような顔で、先ほどよりもさらに醜い、苦い毒のようなことを言う。
*