華の咲く場所
「その女が悪いのよ!新人の癖に、何をしたのか知らないけれど、あなたみたいな上客、ものにするから・・・!あの女がいなければ、私は一位の座であり続けることができたのに・・・!」

紅藤様は、なおも笑顔のままで・・・むしろ、それが更なる恐怖をお姉さまに与えていたらしく、徐々にお姉さまの体の震えは大きいものになっていった。


『どぅん!』


「ひっ・・・!」

もう一度使われたピストルのせいで、高そうな香がたかれていたこの部屋が、火薬臭くなる。

「勘違いをするなよ、女」

紅藤様はピストルの発射口をぺろり、と舐めて・・・なぜだかどこかで見たことがあるように感じるその仕草をなれたようにして・・・地獄に突き落とすような言葉を発した。

「俺はこの店が気に入ったのではない・・・麗蝶が気に入ったのだ。だから、大金を支払ったのだ。もしお前が一位の座とやらから落ちたというのなら、それは、お前のせいであり、店のせいだ。・・・ほんの少しだって麗蝶のせいではない。態度を悔い改めよ」

紅藤様は、四肢を抑えつけられた時のままの態勢の私を抱き起こして椅子に座らせてくれた。

「いいな?次、こんな馬鹿な真似をしたら、風穴一発ではすまない。」

紅藤様がピストルをお姉さまに突き付けたままそう言い聞かせると、お姉さまは無言のまま、歪んだ醜い表情で何度も、壊れた人形のように頷いた。




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