華の咲く場所
――――――

「何事です!?ピストルの音がしましたが・・・!?」

先程逃げて行った女たちから話が言ったのだろう、茶英が駆けつけてきた。

どうしよう、暴力沙汰なんて、面倒くさいことになってしまった、どう片づけようか・・・私が心の中でひっそりと考えていると、

「悪いな、騒がせた。ここでは、何も、ああ何も、なかったよ・・・?」

紅藤様がどこか役者のように、懐から紙幣を何枚かなんてものじゃなくばさりと音が鳴りそうなくらい取り出して、茶英に握りしめさせていた。

「・・・そうですね、何事も、ございませんでしたね。」

茶英は握らされたものを懐にねじ込むと、私に一回ふ、と視線をめぐらせてから、うずくまっているお姉さまを無理矢理立たせて連れて行った。

「ああそうそう!その女、見たくない!」

トドメとでも言うように紅藤様はそう言うと、茶英が「かしこまりました」そう呟いて、お姉さまを店の裏口に連れて行くのがわかった。

・・・紅藤様は、清々しい外見をしている割にとても陰険だということを、嫌というほど理解した。




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