華の咲く場所
Ⅳ
「まったく・・・やっと俺のものになったと思っていい気分で来てみれば・・・。お前、何を殺されかかってるんだ。」
やっと、って何かしら、どういうこと。
それについて聞けはしなかったけれど、感謝の意だけは伝えておく。
「・・・助けて下さって、ありがとうございました。」
会うのが気まずいなどの、先程抱いていた輪を描いたような気持ちは、さっきのいざこざの所為というかお陰というかで、どこかで吹っ飛んでしまった。
驚いたのは、あんなに厳重に鍵をかけて、心の奥深くに仕舞ったものが、紅藤様を見た瞬間、奥から飛び出して、鍵を壊して外にいとも簡単に出てきてしまったことだった。
「頬までぶたれたのか?」
紅藤様が、優しく頬に触れてくるのに、気持ちが彼に屈服するのを感じた・・・私は、紅藤様を前にして、『あの人』との誓いは、守れそうもない。
だって、助けてもらっただけなのに、頬に触れられただけなのに、労わってくれているだけなのに、こんなにも嬉しいのだ。
「・・・はい。」
「口の中を切ってはいないか?」
「・・・少し・・・ん・・・っ」
紅藤様は、私の口内の血を拭いとるように、深い口づけをしてきた。
それは、どんどん深いものになっていって、私は、座っていたふかふかな場所に押し倒される。
「ん・・・あ・・・っ」
駄目だ、溺れてしまう。
紅藤様に溺れたら私はどうなる・・・再び、女としての幸せを、望めるのか・・・。
*
やっと、って何かしら、どういうこと。
それについて聞けはしなかったけれど、感謝の意だけは伝えておく。
「・・・助けて下さって、ありがとうございました。」
会うのが気まずいなどの、先程抱いていた輪を描いたような気持ちは、さっきのいざこざの所為というかお陰というかで、どこかで吹っ飛んでしまった。
驚いたのは、あんなに厳重に鍵をかけて、心の奥深くに仕舞ったものが、紅藤様を見た瞬間、奥から飛び出して、鍵を壊して外にいとも簡単に出てきてしまったことだった。
「頬までぶたれたのか?」
紅藤様が、優しく頬に触れてくるのに、気持ちが彼に屈服するのを感じた・・・私は、紅藤様を前にして、『あの人』との誓いは、守れそうもない。
だって、助けてもらっただけなのに、頬に触れられただけなのに、労わってくれているだけなのに、こんなにも嬉しいのだ。
「・・・はい。」
「口の中を切ってはいないか?」
「・・・少し・・・ん・・・っ」
紅藤様は、私の口内の血を拭いとるように、深い口づけをしてきた。
それは、どんどん深いものになっていって、私は、座っていたふかふかな場所に押し倒される。
「ん・・・あ・・・っ」
駄目だ、溺れてしまう。
紅藤様に溺れたら私はどうなる・・・再び、女としての幸せを、望めるのか・・・。
*