華の咲く場所

「紅藤様は、何者なのですか・・・?」

情事のあと、熱く沸かした風呂に入って、後ろから抱かれながら、今日一日で何度思ったかわからない疑問をつぶやいた。

だって、私を一位の座に就かせるための追加料金は、絶対に安くはないだろうし、お姉さま方も上客だと口々に言っていたし、茶英にも大金を掴ませていたし、たった一言でお姉さまを店から解雇にしてしまうし・・・いったい、どれだけの人なのだろう・・・。

「おや、お前は俺を知らなかったのかい?」

「申し訳ありません、存じません・・・。」

なんだか、ひどく悪いことをしているような気分になって、うつむくと、「それは、おもしろい。当てて御覧」紅藤様は茶化してきた。

「・・・。」

私は、頭の中で考えていた予想を、素直に言っていいものかどうか迷ってしまう・・・だって、もしかしたら、怒ってしまう、この答え。

「こら、一人の世界に入るな。」

「っきゃあ!」

やたらと楽しそうな彼は、私のわき腹をくすぐってきた。

「わ、わかりました!言いますから・・・!あぁっ・・・はは!」

「そう、最初から、素直になっていればいいんだ」

拗ねたようにそういう紅藤様を、可愛い、なんて思いながら・・・意を決して、考えたことを話す。

「まっ・・・マフィア・・・とかの・・・ボス・・・?」

私が恐る恐る言ってみると、紅藤様はおどけたように言った。

「正解・・・のようで、少し違う、そういうのが暴れないように管轄する正義の味方さ」

そして私を自分の方に向けて、何故か自分も後ろに向いた。

自然と、彼の背中に目が行ってしまう。

「・・・!!」



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