【短編】今夜、きみと最後のキスを
でもそれはあえて口には出さなかった。




「お父さんの調子、どう?」


こんな時でも直樹くんが気にかけるのは人のことばかり。


「検査の結果も問題なかったから、もうすぐ退院できるって」

あたしも笑顔で答える。


「そっか。おめでとう。よかったね」

「ありがとう」



「あっ、直樹にーちゃんだ!」


声がする方を見ると、頭にバンダナを巻いた俊太くんが手を振っていた。

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