【短編】今夜、きみと最後のキスを
あとあと聞いたら、俊太くんは血が固まりにくい体質らしく、前に怪我した時に出血が止まらなくて大変だったらしい。


──このくらいの男の子に動いちゃダメ、遊んじゃダメっていうのは酷な話かもしれないけど。



直樹くんはもちろん、それを知った上で俊太くんと遊んでたんだけどね。

転ばないように、怪我しないように、ってちゃんと注意しながら。



「……ふーんだ。里佳ねーちゃんのケチっ!」

俊太くんはいーっと拗ねた顔をして行ってしまった。



「……きつく言い過ぎたかも……」


サッカーボールを抱えて遠ざかる小さな背中を見つめながら思わずつぶやいた。

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