【短編】今夜、きみと最後のキスを
「俊太くん待って!」


子供の足ならすぐ追いつけるかと思ったけど甘かった。

俊太くんとの距離はなかなか縮まらない。


しかも朝まで降ってた雨を含んだ芝生がぬかるんで滑る。


近くにはベンチもあるし、飛び石もある。

転んで怪我でもしたら……。



「俊太くん! もう追いかけないから止まって! お願いっ!!」

その声に俊太くんはピタリと止まった。



ふぅ……よかった。


一瞬よぎった想像にゾっとして鳥肌が立つ。

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